工場特有の重い空気の中で、
私は今日も「誰かの視線」を背中に感じながら作業をしていた。
隣で作業する人の、ほんの少しの動きの乱れ。
機械音に混じって聞こえる、小さな吐息。
「私のせいで、作業を遅らせていないだろうか」
「今の受け渡し、相手はやりづらくなかったかな」
HSPという繊細な気質を持つ私にとって、
誰かとペアで行う「組み作業」は、
気を使いすぎて呼吸が浅くなるような時間だった。
相手のペースに合わせようと必死になり、
逆に相手の雑な動きに心がざわついてしまう。
仕事が終わる頃には、心も体もすっかり疲れ果てて、
一言もしゃべりたくないほど消耗していた。
「自分は、この仕事に本当の意味で向いているわけじゃない」
そう思いながらも、なぜ私は15年もの間、
この場所で働き続けてこられたのか。
特に休憩時間の過ごし方は、午後の体力を左右する重要なポイントです。私が周囲の目を気にせず「一人になること」を選び、消耗を劇的に減らせた体験についても詳しく書いています。
私を支えた、妻の静かな言葉

実は数年前、私は「正解」を探しすぎて、
心が折れてしまったことがある。
抑うつ状態で、ただ天井を見つめることしかできない毎日。
40代、元美容師、住宅ローン、そして二人の子供。
積み上げた責任の重さに押しつぶされそうになっていた私に、
妻は静かにこう言ってくれた。
「生活の心配はしなくていいから。今はゆっくり休んで」
その言葉に、どれほど救われただろう。
「家族を養わなければ」という義務感が、
「この家族のために、自分にできることを探そう」
という前向きな覚悟に変わった瞬間だった。
私が工場に通い続けるのは、
この場所が自分にとっての「天職」だからではない。
この穏やかな日常と家族を守るための、
自分なりの手段なんだと割り切れるようになった。
「向いているかどうか」よりも、
守りたいもののために「ここにいる」という納得感が、
私を支えている。
思考のノイズを止める、自分だけの時間

繊細な人間にとって、
日常は情報の洪水だ。
仕事が終わっても、昼間の些細な出来事や自分の失敗が、
頭の中で何度もリピートされる。
そんな私をリセットしてくれるのが、
ジムでのトレーニングとサウナだ。
22.5キロの重りを無心で押し上げるとき、
余計な考えは消えていく。
そして、サウナの熱気。
ただ熱い場所に身を置き、
そのあとの水風呂と外気浴に集中する。
そうすると、脳内を占拠していた不安やイライラが、
すーっと引いていくのがわかる。
この「自分を空っぽにする時間」があるからこそ、
私は明日もまた、あの工場へと足を運べるのだと思う。
ジムやサウナ以外にも、日々のルーティンの中に「回復の儀式」を組み込むことが継続の鍵です。15年かけて辿り着いた、夜勤明けの体と心を整える習慣も参考にしてみてください。
完璧な場所なんて、どこにもないけれど

美容師だった20代の頃は、
お客様を喜ばせることがすべてだった。
今は、淡々と機械を操作し、
休憩時間は一人で静かに過ごして自分を回復させる。
「向いていない」場所で15年。
それは、無理をして耐え忍んできただけではなく、
自分の弱さを認め、どうすればその弱さと共生できるかを試行錯誤してきた時間だ。
もしあなたが今、
「自分はこの仕事に向いていない」と悩んでいるなら、
少しだけ視点を変えてみてほしい。
仕事そのものを好きになれなくても、
その仕事を通じて得られる「大切なもの」があれば、
それだけで十分続ける理由になる。
今日も私は、工場へ向かう。
向いていないなりに、自分なりのペースで。
守りたい家族の笑顔と、
一日の終わりに待っている静かな時間を楽しみにしながら。
「向いていない」という感覚は、決して甘えではありません。その限界を感じたときに、どうやって自分自身と折り合いをつけ、心を守る決断を下すべきか。一つの指針として読んでいただきたい記事です。
[6/10投稿:「向いていない」は甘えではない。HSPが感じる限界の正体]
#https://yowakutemo-ikiru.com/hsp-factory-limit/


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