
「工場に転職すれば、もう少し楽になれる」
25歳の私は、そう思っていました。低賃金で土日も休めない美容師生活に限界を感じ、給料が安定していて土日休みが取れる工場へ。当時の私には、それだけで十分な理由でした。
でも実際に働いてみると、思っていた通りだったことも、まったく予想外だったことも、両方ありました。
元美容師として工場に転職し、15年働いてきた私が、転職前後のリアルなギャップを正直にお伝えします。これから異業種への転職を考えている方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
ギャップ① 給料は上がったのに、手取りが思ったより少なかった

美容師時代の給料は、本当に少なかったです。ボーナスもなく、手取りは毎月ギリギリ。「工場に転職すれば給料が上がる」という期待は、間違いではありませんでした。
実際、美容師時代よりは収入が増えました。
ただ、最初に入った中小企業の工場では、残業がある月とない月で手取りが大きく変わりました。残業が多い月は25万円前後になる一方、残業のない月は18万円まで落ち込む。妻と子どもを養う身としては、この不安定さが想定外のストレスでした。
「工場=安定」というイメージを持っていましたが、会社の規模や雇用形態によって、その安定度は大きく変わります。私が本当の意味で「生活が安定した」と感じられたのは、現在の会社に引き抜いてもらってからでした。
転職前に確認しておきたいこと
- 基本給と残業代の割合
- 派遣・請負・正社員の雇用形態の違い
- ボーナスの有無と金額の目安
ギャップ② 「教えてもらえる」と思っていたが、ほぼ自力だった

美容師の世界は、厳しいけれど「教育」がありました。言葉遣いから掃除の仕方、技術の習得まで、細かくダメ出しが飛んでくる環境でした。理不尽に感じることもありましたが、今思えばそれが「プロを育てる文化」だったと思います。

工場に来て、最初に驚いたのがここでした。
指導や教育がほとんどない。誰も技術を伝えようとしない。先輩のやり方をそのまま見よう見まねでコピーするだけ。「なんとなくやれれば十分」という雰囲気が職場に漂っていました。
美容師時代は「なぜこうするのか」を教えてもらえる環境でした。でも工場では「とにかくやれ」の一言で終わることが多かった。HSPの私には、理由を理解してから動きたいという気質があるので、この文化のギャップは特にきつく感じました。
「わからないことは質問する」という姿勢で乗り越えましたが、面倒がられることもありました。それでも質問し続けたことで、結果的に職場で一番「不良を出さない作業者」になれたのは、皮肉でもあり、自分の気質への信頼にもなりました。
ギャップ③ 仕事への熱意とプロ意識が、想像以上に違った

これは転職前には想像していなかったギャップです。
美容師の世界は、仕事への熱量が高い人が多かったです。休日も自分で練習して、技術を磨こうとする人たちに囲まれていました。給料が少なくても「好きだからやっている」というプロ意識がある世界でした。
工場では、「お金のために来ている」という割り切りが、良くも悪くも明確でした。仕事に情熱を注ぐ方向性がわからず、やる気のない人が多いと感じることもありました。自分で考えて動こうとする人が少なく、最初はその温度差に戸惑いました。
ただ、これは見方を変えると違う景色が見えてきます。
「仕事はあくまで生活の手段」と割り切れる人たちは、仕事以外の時間を大切にしていました。家族との時間、自分の趣味、休息。そのバランス感覚は、美容師時代の私には欠けていたものでした。
今の私は、どちらの考え方も間違っていないと思っています。大事なのは、自分がどちらの環境で心の平穏を保てるかを知ることです。
美容師時代の苦労が、意外な形で工場で活きた

転職するとき、「美容師のスキルは工場では何も役に立たない」と思っていました。でも15年働いてみると、それは違いました。
役に立ったのは「仕事の基本」でした。
整理整頓、上司とのコミュニケーション、わからないことを確認する習慣、観察して考えて実行して結果を確認するサイクル。これは美容師でも工場でも、まったく同じでした。
美容師時代に「なぜできないのか」と怒られながら身につけた、丁寧に仕事をする習慣。お客様の微妙な表情の変化を読んできたコミュニケーション能力。これらが工場でも自然と活きていたのです。
「領域は違えど、仕事の本質は同じ」。これは工場で働きながら気づいた、私の中で大切にしている言葉です。
まとめ|転職前に知っておきたかったこと

美容師から工場への転職を振り返って、正直に言えることがあります。
転職して良かったこと
- 接客クレームのストレスから解放された
- 土日の休みが取れるようになった
- 家族との時間が増えた
- 昇格しなくても給料が安定するようになった
転職前に知っておきたかったこと
- 給料の安定度は会社規模や雇用形態で大きく変わる
- 教育文化がない職場も多い、自分で学ぶ姿勢が必要
- 仕事への熱量の違いに最初は戸惑うかもしれない
転職は「逃げ」でも「負け」でもありません。自分の気質や生活スタイルに合った環境を、戦略的に選ぶことです。
異業種転職を考えているあなたに、この記事が「一歩踏み出す前のリアルな参考」になれば嬉しいです。
このブログでは、HSP気質を持つ40代の私「とと」が「弱くても生きていける働き方」を模索する過程をリアルに発信しています。工場転職・交代勤務のリアル・副業への挑戦など、同じ境遇の方に届けばと思って書いています。


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